自分の強みがわからないときは、立派な実績を探さなくて大丈夫です。まずは「人に頼まれること」「つい先回りすること」「続けても苦になりにくいこと」を、場面ごとに書き出してみてください。同じ行動がくり返し出てきたら、そこに強みの手がかりがあります。

「強みがない」と感じるのは、できて当たり前だから

強みと聞くと、表彰された経験や目立つ成果を思い浮かべがちです。でも、自分にはふつうのことほど、名前をつけにくいもの。たとえば、会議の後に決まったことを短くまとめる人。本人は「忘れないため」と思っていても、周りはその共有に助けられているかもしれません。

性格の強みを研究するVIA Institute on Characterも、自分のよさを日常の行動から見つける「強み探し」を紹介しています。よかった場面を思い出し、何をしたかに目を向ける方法です。[1]

ただし、ほめられないことと、強みがないことは別です。職場や家の中では、いつもの役割になった行動ほど見過ごされることもあります。まず「すごいこと」を探すのをやめ、ふだんの選び方を見てみましょう。

苦手なことが目につく日もあります。予定がずれると、強く気にしてしまう。そんな人は、予定を守れるよう早めに確かめることも多いかもしれません。気にしすぎで終わらせず、実際に役立った行動があったかを見直すと、見え方が変わります。

自分の強みを見つける、三つの場面

ノートやスマホに、最近の一週間から具体的な場面を三つだけ書きます。大きな成功を探す必要はありません。何が起き、何をして、相手や自分にどんな変化があったか。この順で残すと、あいまいな「私らしさ」が行動になります。

  • 頼まれた場面:友人から旅行の予定を組んでと言われた。希望を聞き、移動の少ない順に並べた。
  • 先回りした場面:会議で話がずれそうだった。決めることを一言で聞き直した。
  • 苦になりにくい場面:散らかった情報を表に直した。人が探しやすい形まで整えた。

書いたら、行動に短い名前をつけます。「旅行好き」より「希望を聞いて順番を組む」。「まじめ」より「話を整理して決める点を示す」。性格の形容詞を急いで選ぶより、動きを言葉にするほうが、次の場面でも使えます。

三つの場面が似ていなくてもかまいません。LINEで友人の長い相談を要約する。仕事では問い合わせを種類ごとに分ける。場は違っても「相手が迷わないよう整理する」が共通しているかもしれません。逆に、たまたま一度やっただけなら、強みと決めつけなくて大丈夫です。

「何も思いつかない」なら、昨日の小さな出来事までさかのぼります。店を決めるとき、候補を二つにしぼった。家族が帰る前に、必要なものを買っておいた。結果が目立たなくても、自分が選んだ動きは残せます。

ほめ言葉は、そのまま受け取らず行動に直す

「優しいね」「しっかりしてるね」はうれしい言葉です。ただ、そのままでは何をしたかがわかりません。「いつ、何を見てそう思った?」と聞けそうなら、具体例を一つだけ教えてもらいましょう。相手に負担をかけない聞き方で十分です。

たとえば「優しい」と言われた理由が、話の途中で口をはさまず待ったことなら、「相手の話す速さに合わせる」と書けます。「しっかりしている」が、締め切りを前日に伝えたことなら、「相手が準備できるよう先に知らせる」です。同じほめ言葉でも、中身は人によって違います。

ほめられた覚えがなくても、頼まれごとを見てみてください。相談が集まるなら聞き方、予定の確認を頼まれるなら段取りに手がかりがあります。一方、断れず引き受けているだけなら、回数が多いことを強みと混同しないようにしましょう。

VIAの強み探しでも、見た行動に名前をつけ、その理由を具体的に伝えるやり方が示されています。[1] 自分に当てはめるなら、「がんばった」だけで終わらせず、何をしたかを一行足してみてください。

他人の評価と自分の感覚がずれることもあります。「説明が上手」と言われても、本人は準備に時間がかかってつらいかもしれません。その場合は「説明が得意」と断定せず、「準備して順番を組むのはできる」と書くほうが正確です。使える条件までわかると、無理を減らせます。

見つけた強みは、小さく試して確かめる

候補ができたら、次の一週間で使う場面を一つだけ決めます。「要点をまとめる」が候補なら、会議の後に決まったことを三行で送る。相手に役立ったか、自分に負担が大きすぎなかったかを確かめます。ほめられるかどうかだけを目標にしなくて大丈夫です。

強みには、使いやすい場と使いにくい場があります。丁寧に確認する力も、急いで決める場では時間をかけすぎるかもしれません。そんなときは確認する項目を二つにしぼる。弱みとして捨てるのではなく、量を調整してみましょう。

試すときは「何をした」「どんな反応があった」「次はどう変える」の三行で残します。たとえば、友人との外出で全員の希望を聞いたら、決めるまで長くなった。次は最初に予算だけそろえて聞く。こう書けば、うまくいかなかった日も次のヒントになります。

合わなかった候補は消してかまいません。強みの名前は、変えてはいけない自己紹介ではありません。場面とともに更新する仮の言葉です。いきなり就職や人間関係の大きな判断に使わず、まずは小さな行動で確かめていきましょう。

もし周りに合わせすぎて自分の行動が見えないなら、誰にも見せない記録にしてください。「本当は断りたかった」「今日は一人で考えたかった」も大切な情報です。得意なことと、引き受けたいことは同じとは限りません。

ほかの診断と重ねるなら、行動を先に置く

MBTIの16タイプを知っているなら、結果を「自分にありそうな好み」として眺めてみましょう。たとえば、情報を集めてから決めたいと感じる人でも、実際には短時間で決める場面で力を出すことがあります。タイプ名より、何をしたときに役立ったかを優先します。公式のMBTIは能力やスキルを測るものではありません。[2]

四柱推命や五行の見方を重ねる場合も、同じです。たとえば木の「育てる」というイメージにひかれても、それだけで「人を育てるのが得意」とは言えません。後輩に手順を伝えた場面など、自分の記録と照らしてください。占いの象徴とMBTIのタイプが一対一で対応するわけでもありません。

診断結果に合わない行動があっても、失敗ではありません。落ち着いた場では相談を聞き、時間に追われると自分で決める。同じ人の中に、場による違いはあります。当てはまらない人もいますし、どの結果も自分のすべてを言い当てるものではありません。

よくある質問

Q. 自分の強みが一つも見つからないときは?

「誰よりも得意」をいったん外しましょう。昨日、自分が選んでやったことを一つ書きます。人に感謝されていなくてもかまいません。次に、似た行動がほかの日にもあったかを探します。見つからない日はそこで終えて大丈夫です。

Q. 苦手なことの裏返しも強みになりますか?

可能性はありますが、自動的に強みにはなりません。「決めるのが遅い」の裏で、選択肢を比べて役立った場面があるかを見ます。役立ったなら、比べ方を残す。つらさだけが残るなら、無理に長所へ言い換える必要はありません。

Q. 無料の性格診断で強みはわかりますか?

結果を考えるきっかけにはできます。ただし、四文字のタイプが出る無料のオンライン診断と、公式のMBTIは別物です。公式のMBTIも能力そのものを測りません。[2] 結果は答えではなく、自分の行動を振り返るための問いとして使いましょう。

まとめ

自分の強みは、派手な成果より、くり返す小さな行動から探せます。
頼まれること、先回りすること、苦になりにくいことを場面で書きましょう。
ほめ言葉は具体的な行動に直し、使いやすい条件も確かめます。
候補ができたら一つだけ試し、合わなければ名前を変えてかまいません。

参考資料:[1] https://www.viacharacter.org/topics/articles/bring-out-the-best-in-yourself-and-others-with-strengths-spotting / [2] https://www.themyersbriggs.com/en-US/Access-Resources/All-About-the-MBTI-Assessment